FIREを目指しているとやっぱり高配当株って魅力的です。
特に相場が荒れているときは、バリエーションの低い高配当株の方が株価が下がりにくいですし、何より安定的に配当を受け取ることができるのがうれしいです。
今回は米国高配当ETFの中でも特に人気のVYMの購入タイミングについて検証していきます。
高配当株は株価が下落したときに買うと良いって何かの記事で見たな~。
ネットの記事なんかはだいたいそう書いてあるよね。
でも実際に計算してみたら、実は定期購入の方が良いことが分かったから解説するよ。
この記事を読むことで、米国高配当ETFであるVYMの最も投資効率の良い買い方を知ることができます。
この記事を書いた人
- 共働き夫婦(夫29歳、妻28歳)
- 資産1900万円を運用中
- 2021年の年間投資成績+200万円
- 自動売買・個別株・仮想通貨など幅広く投資
VYMとは?
そもそもVYM?って何という方向けに簡単にVYMについておさらいしていきます。
VYMは高配当として有名な米国で上場している投資信託(ETF)です。
市場平均を超える配当を出す株で構成される「FTSEハイディビデンド・イールド指数」をベンチマークにしています。
経費率は0.06%と非常に低く、配当利回りは3%前後となっています。
VYMの組み入れ銘柄
2022年1月時点でのVYMの組み入れ銘柄トップ10は以下のようになっています。
順位 | 銘柄 | 組入割合 |
1 | JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 3.29 |
2 | ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | 3.19 |
3 | ホーム・デポ | 3.13 |
4 | プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 2.79 |
5 | ファイザー | 2.34 |
6 | バンク・オブ・アメリカ | 2.27 |
7 | シスコシステムズ | 1.9 |
8 | ブロードコム | 1.88 |
9 | エクソンモービル | 1.84 |
10 | ペプシコ | 1.7 |
みんなが知っているような大手米国企業が並んでいるよ。
S&P500と違ってGAFAMが入っていないのが特徴的だね。
VYMは高配当ETFなので、GAFAMを中心としたハイテクグロース関連の株は構成銘柄上位に含まれていません。
その分、歴史が長く、安定した収益基盤をもっている企業が多く含まれています。
値上がりを求める人より安定的に収益を得たい人向けのETFになります。
分配金
過去10年間の分配金の推移を見ていきましょう。
年 | 年末株価 | 年間分配金 | 利回り |
2011 | $45.26 | $1.33 | 2.94% |
2012 | $49.38 | $1.59 | 3.22% |
2013 | $62.32 | $1.75 | 2.81% |
2014 | $68.75 | $1.91 | 2.78% |
2015 | $66.75 | $2.15 | 3.22% |
2016 | $75.77 | $2.21 | 2.91% |
2017 | $85.63 | $2.40 | 2.80% |
2018 | $77.99 | $2.65 | 3.40% |
2019 | $93.43 | $2.84 | 3.04% |
2020 | $91.51 | $2.91 | 3.18% |
2021 | $112.11 | $3.10 | 2.76% |
平均 | ー | $2.26 | 3.01% |
増配を長年続けていることが分かります。
コロナショックでも減配しなかったのは安心だね。
連続増配、株価は右肩上がりと文句なしの優良ETFです。
最近はVOOなどのS&P500に連動するETFが注目されていますが、FIREを目指す人にとってVYMは貴重な投資先になると考えています。
S&P500はGAFAMの比率が高くなりすぎているから、これらの企業が傾くと指数全体が大きく落ち込んでしまうリスクがある。VYMで投資先を分散するのもいいかもしれない。
VYMの購入タイミングをシミュレーションした結果
VYMが魅力的なETFなことはよくわかったから、今度は効率の良い買い方を教えて!
OK!今回は「毎月定期購入する場合」と「配当利回りが高くなったときだけ買う場合」でどちらがパフォーマンスが良いかを検証してみたよ。
高配当ETFは長期で保有することが前提なので、チャートをみて売買を判断するよりは、毎月定期購入or配当利回りは高くなった時に購入が適していると考えられます。
配当利回りが高いときに買うと何でいいの?
配当利回りは株価の割安性を表しているからだよ。
利回りが高ければ配当の割に株価が割安だと判断できるんだ。
配当利回り(%)=1株当たりの配当金÷株価
配当利回りは上式で計算できるので、配当金が高い時、株価が安い時に利回りが上昇します。
どちらの場合でも配当の割に株価が低いことを表しているので、割安度合を見るにはちょうどいい指標になります。
だからといって、配当利回りが高い時だけ買う戦法は間違いなのでシミュレーションの結果をよく見てください。
シミュレーションの前提
配当利回りで投資を判断するのを「スポット」と表記することにします。
この投資方法では、毎月3万円現金が投入され、現金として積みたてられてます。そして配当利回りがある一定レベルを超えたら、積み立てていた現金をすべて株式購入にあてます。
一方、「定期」は毎月3万円で買えるだけ株式を買って、残ったお金は翌月の購入にあてる投資方法です。
条件 | 「定期」 | 「スポット」 |
購入タイミング | 毎月末全額投資 | 配当利回りが一定以上で全額投資 |
資金投入額 | 毎月3万円 | 毎月3万円 |
配当金 | 3,6,9,12月 | 3,6,9,12月 |
配当金再投資 | する | する |
期間 | 10年 | 10年 |
ドル円レート | 110円固定 | 110円固定 |
結果(定期vs配当利回り3%以上で購入)
まずはスポット購入の条件を「配当利回りが3%以上」とした場合の結果を見ていきましょう。
ちなみにこの3%という数字は配当利回りの10年平均からとっています。つまり10年間で割安な時期のみ購入するということです。
それではキャピタルゲインとインカムゲインの合計で算出したトータルリターンから見ていきます。
ん?定期とスポットで全く同じ結果になってない?
そうみたいだね。結構驚きの結果。
何でそうなったのか詳しくみてみようか。
配当利回りが平均以上のときのみに購入することで平均取得単価を下げることができたのかを検証するために、それぞれの平均取得単価の推移を確認してみましょう。
この結果からは、ほとんど平均取得単価は変わらないことが分かります。またポジション数の増加具合も両者でほとんど差がありませんでした。
つまり平均配当利回りを購入のタイミングにするくらいなら、毎月定期購入した方が楽だし、結果も同じということです。
結果(定期vs配当利回り3.4%以上で購入)
もう少し配当利回りが高いときに買ったら違う結果になるのかな?
それは気になるね。それじゃあ過去10年の年末時点で最も高い配当利回り3.4%を購入タイミングにしてみよう。
配当利回り3%では定期購入とスポット購入で平均取得単価に違いがなかったため、もう少し割安なタイミングでスポット購入するように購入条件を配当利回り3.4%に引き上げました。
まずはトータルリターンを比較していきましょう。
あれ?今度は定期購入の方が良い結果になってる!!!
ほんとだね。全期間で定期購入が上回っているなんて驚きだ。
平均取得単価を下のグラフで見てみると、定期でもスポットでも大きく違いがありませんでした。
上のグラフで株価の動きと合わせてみてみて!
配当利回りが高くなるのを待っている間に株価がどんどん上昇しちゃっているから、定期で買うのと違いがなかったみたいだね。
ずーっと安くなるのを待ってて、いざ株価が下落しても、長い目で見たらさほど安くない価格で買ってしまうってことね。
ちなみに平均取得単価が同じなのに、トータルリターンが大きく違っていた理由はもらえる配当額の違いです。
あたりまえですが、早めにポジションをもっていた方が配当金を多く貰えますし、その配当金を使って、新たにポジションを増やすことができます。
それを実証しているのが次のグラフです。
スポット購入が買うタイミングを見計らっている間に、定期購入はコツコツ配当を受け取っていたんだね。
高配当投資においても早めにポジションをもって、長期で運用することの大切さがわかってもらえたかな?
うん!すっごくよくわかった。
毎日株価をみて「配当利回りが~」って確認する必要なんてなかったんだね。
そういうこと!ちなみに配当利回り4%でも計算してみたけど、スポット購入の結果があまりにボロボロだったから省略させてもらうね。
まとめ:VYMは定期購入が良い
高配当投資をしていると、どうしても配当利回りが高いときに購入したい!と思ってしまいますが、今回実際にシミュレーションしてみて「定期購入の強さ」をあらためて実感しました。
そもそも株価をみて購入タイミングがしっかり分かる人であれば、高配当投資なんてせずに短期投資で稼げるはずですよね。
高配当投資をする方は日々の値動きに左右されたくない、ゆったり投資したいという方が多いはずなので、そういう意味でも値動きに関係なく定期購入する手法がおすすめです。
楽天証券やSBI証券では米国株の積立設定ができるようになっているので活用しましょう。
記事のまとめ
- VYMは配当利回り3%かつ増配を続けている優良ETF
- 配当利回りが高いときに購入する投資手法は効率が悪い
- 毎月定期的に購入するとリターンが大きく、日々の値動きを気にする必要もない
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また、もっと別のETFのシミュレーションをしてほしいって方はコメントかSNSで連絡をください。
わたしたち夫婦はFIREに向けて資産形成中なので、高配当投資よりはキャピタルゲイン重視のインデックス投資をしています。
投資信託を使うことで配当金に税金がかからず複利を効かせることができるので、資産形成の初期のころに適した投資手法です。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、ご興味ある方はどうぞ。